鍵を忘れて実家へ。まさかの一日が教えてくれたこと

鍵がない

最悪……。仕事帰り、歩きながら気づきました。
家の鍵がない。

今日は夫が夜勤で、家にはすでに鍵がかかっています。

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鍵がないと気づくまで

思い返せば、朝、夫に「機嫌悪い? それとも体調悪い? 顔色が悪いよ」と聞かれ、「そんなことない。普通だよ」とぶっきらぼうに答えて家を出たのでした。夫が見送ってくれたので、自分で鍵をかけることなく家を出て、そのまま鍵を持ち忘れていることに気づかなかったのです。

夫はすでに仕事中。電話をしても留守番電話につながり、LINEをしても返事なし。

どうしよう……と考えながら、家のまわりをぐるぐる歩きます。こんな時でも、ドラクエウォークはとりあえず起動。せっかく歩いているんだから。

歩きながら考える

徒歩30分くらいの場所にファミレスがあるから、そこで夫からの連絡を待とうか。それとも……車で20分程度の場所に実家があります。母を亡くして、父がひとり暮らしをしています。

せっかくだし、父の世話になろうか。

父に電話をして事情を説明すると、「なんだぁ」と言いながらも、いいよとの返事。

近くのバス停で少し待ち、バスに乗って実家方面へ向かいました。実は、家のすぐ近くにバス停がありながら、ここから乗るのは初めて。自分の車があるので、バスに乗ることはめったにありません。

バスに乗っていると、学生さんや若い人が思ったより多く乗っていました。「へぇ、意外とバスに乗る人もいるんだな」「ふうん、このルートで進むんだ」。新鮮な気持ちで、実家近くまで揺られていきました。

父の手料理と、栗ご飯の話

実家に帰り着くと、父が「ごはんはないけど、作ったおかずがあるから食べたら」と言いました。筍の味噌煮とポテトサラダ。どちらも、母の好物だったものです。

台所を見ると、栗が置いてありました。
「もう栗の季節かぁ。お母さん、栗好きだったね」と話すと、父が、
「そうなんだ。栗が売っていたから、栗ご飯を作って母さんにお供えしようかと思ってね」
と答えました。

お母さん、亡くなってからもお父さんに大事にされているね。そうつぶやきながら、パンと一緒に父の作ったおかずを食べました。父は、料理の味付けがうまい。

食べながら、見逃していたドラマを父とワイワイ言いながら鑑賞しました。ドラマって、一人で見るより誰かと一緒にワイワイ言いながら見たほうが楽しいな、なんて思いました。

夫の優しさに触れる

ドラマを見終わった頃、夫から電話がありました。
恐る恐る、「職場まで鍵を借りに行っていい?」と聞くと、「もちろんだよ」との返事。

玄関で見送ってくれた父にお礼を言って家を後にし、すぐにタクシーで夫の職場へ向かいました。ちなみに、地元でタクシーに乗るのもかなり久しぶり。

到着後、夫に電話をかけました。
「職場までついたんだけど……」
「玄関で待ってるよ」

怒られるかなぁと思いながら顔を合わせると、優しい夫の顔がありました。「だいじょうぶかぁ」と心配してくれていたのです。

鍵を借りて、急いで家に帰ると、自分の鍵はいつもの場所に置いてありました。

夫に鍵を返すために、もう一度夫の職場を訪ねました。夫はすぐに出てきて、
「鍵があってよかったなぁ」
と言いました。夫にそう言われ、ようやくホッとすることができました。

鍵を忘れたおかげで、普段なら乗らないバスに乗り、父との時間を過ごし、夫の優しさに触れることになりました。

汗だくになって、「あー、大変!」とは思ったものの、「大変な一日」は、案外「悪くない一日」だったな、と感じたのでした。

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